私が子供の頃は、お医者さんがよく往診してくれたものです。
熱を出したり、おなかが痛くなって、往診して治してもらった記憶もあります。
でも、私が高知から神戸に帰って来た頃には、往診を引き受ける医者はほとんどいなくなっていました。
一方、この街の高齢化は進み、通院が困難な方は増え続けています。
私は考えました。
「神戸で開業するにあたって、どんな取り組みをすれば患者さんに喜んでいただけるだろう？　そうだ！　訪問医療専門の診療所をつくり、通院が困難な患者さんを診て差し上げてはどうだろう！」と思い立ち、1999年に在宅医療（訪問医療）専門の青山クリニックをスタートさせたのです。

私たちは、患者さんが病気を抱えていても、ご自宅で日常生活を続けながら治療を受けられるようにすることを、めざしています。
そのためには、医療だけではなく生活全般にわたって支援できるよう、アドバイスさせていただきます。食事の工夫や介護の仕方により、治療効果を一層高めることができるからです。
在宅医療は治療だけにとどまらないものと、私たちは考えています。
そのために、地域の訪問看護ステーションやホームヘルパー、専門病院、薬局、各種施設、介護用品の販売・レンタル会社、食事の宅配業者など幅広くネットワークを形成し、チームで対応できるようにしています。
訪問医療を通じて患者さんの生活全体をお支えし、ずっと笑顔でいてもらいたい。そう願っているからこそ、私たち自身も笑顔で出掛けていく毎日です。

青山クリニックはどうして在宅医療を専門にするのでしょう？
理由はずっと昔にさかのぼります。
私、青山は岡山大学医学部卒業後、岡山大学医学部附属病院（現・岡山大学病院）ICUで勤務しました。ここは重症な患者さんを集中的に、しかも最先端の医療で治療するところです。
ICUでの研修の2年間は、心臓・肺・消化器・腎臓など体の全ての臓器の治療に当たりました。全身やけどの患者さんには精神科の治療も必要でした。
当時の医学部では、卒業後、内科や外科の医局に入り専門医を目指して勤務するのが一般的でした。そのため狭い専門領域の医療は習得できても、体全体を包括的に診察・治療する事は苦手な医師がほとんどでした。
ICU勤務を終えて、次は高知市の900床ある救急病院に赴任して救急医療の生々しい現場で2年間働きました。

その後、高知県内のへき地の診療所の院長として、15年間様々な病気の治療経験を積みました。
そこでは、在宅医療も行っていました。
こういった経歴をもって、故郷神戸に帰って来たのです。
今までの経験を生かした診療所を開き、地域の老齢者の皆さんの病気を治し健康管理をしようと思い立ち、在宅医療専門医院として青山クリニックを1999年に開院しました。